映画『夕方のおともだち』は、SMというニッチな世界をのぞき見しながら、「誰かとつながること」の重さと寂しさを描いた大人向けのドラマです。
廣木隆一監督が山本直樹の原作をもとに、静かで少しねじれた空気をまとったラブストーリーとも言える世界を立ち上げています。
物語の中心にいるのは、寝たきりの母を介護しながら、くたびれた日々を送る吉田（村上淳）と、彼が通い詰めるSMクラブの女王様・ミホ（菜葉菜）です。
彼は普段は真面目な顔で暮らしながら、ミホの前では床に跪き、ムチムチの脚元を見上げて日々の鬱憤を吐き出していきますが、それでもどこか心の奥は空いたままです。
そんなある夕方、吉田はかつて自分をこの世界へ引き込んだ“伝説の女王様”ユキ子の姿を選挙カーの上で偶然目撃します。
乳首まであらわにされるようなSMプレイの記憶と、今の自分の生活が一度に押し寄せ、彼の心は静かにかき乱されていきます。
大橋トリオの静かな音楽が、汗ばんだ肌のきしむ音や、鞭が「ピタッ」と止まる間をそっと包み込み、エロスと孤独が絡み合う世界観をより印象的にしています。
SMという枠を超えて、「自分を丸ごと受け入れてくれる誰か」を求める切実さを描いた本作は、観終わったあともしばらく頭から離れない一作でした。
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目次
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映画『夕方のおともだち』のあらすじ紹介
映画『夕方のおともだち』は、現代の地方都市で、人に言えない孤独を抱えた大人たちが、奇妙なつながりを見つけていく物語です。
この物語の舞台は、どこにでもありそうな小さな町です。
主人公のヨシオ（村上淳）は、昼間は地方公務員として淡々と働き、夕方になると寝たきりの母の介護に追われる生活を送っています。
汗ばんだシャツを着替える間もなく一日が過ぎていき、気づけば自分の欲望も気持ちも置き去りになっていました。
そんなヨシオにとって唯一の逃げ場が、SMクラブで出会ったカリスマ女王様ミホ（菜葉菜）との時間です。
ミホは鋭い視線とムチを持ちながら、ふとした瞬間に優しい笑みを浮かべる人物です。
黒い衣装からのぞく白い肌や、脚を組み替えるときの腰つきにヨシオは翻弄されつつも、その奥にある彼女の孤独も感じ取っていきます。
ある日ヨシオは、選挙カーの上でマイクを握る女性候補者の中に、かつて自分をSMの世界へ連れていったユキ子の面影を見つけます。
突然姿を消した伝説の女王様が、今は真面目な政治家として人前に立っている。そのギャップにヨシオは強く動揺し、過去の記憶と現在の自分の生活を比べずにはいられなくなります。
ミホとヨシオの関係は、客と女王様という主従を超え、互いの弱さを預け合う相手へと変わりつつあります。
しかしユキ子の存在がふたたび影を落とし、三人の距離は微妙にずれていきます。
映画は、ヨシオ・ミホ・ユキ子という三人が、それぞれ違う形の寂しさと向き合いながら、「友だち」「主従」「恋人」といったラベルでは割り切れない絆を模索する過程を追いかけます。
廣木隆一監督は、照明を抑えた薄暗い部屋と、外の選挙カーのまぶしいライトを対比させることで、日常と非日常の境界をあいまいにしていきます。
菜葉菜演じるミホの、ムチを持つ手の震えや、命令のあとに漏れるかすかな吐息が、その内面の揺らぎをさりげなく伝えます。
この作品は、派手な展開で驚かせるタイプのドラマではありません。
むしろ、誰かと一緒にいても埋まらない孤独や、「友だち」という言葉に入りきらない関係性を静かに描き出しています。
観客それぞれが自分の日常を思い返しながら、「自分にとっての“夕方のおともだち”は誰なのか」を考えさせられるような後味を残す一本です。
映画『夕方のおともだち』基本情報・公開日キャスト
| 評価 | 3.4 |
|---|---|
| 公開日 | 2022年2月4日 |
| 上映時間 | 115分 |
| 監督 | 廣木隆一 |
| 脚本 | 黒沢久子 |
| 原作 | 山本直樹 |
| キャスト | 村上淳,菜葉菜,好井まさお,鮎川桃果,大西信満,木口健太,田中健介,日向寺雅人,坂本つとむ,宮崎吐夢,田口トモロヲ,AZUMI,烏丸せつこ |
| 製作国 | 日本 |
映画『夕方のおともだち』見どころ3選！
清々しい結末が待っている
映画「夕方のおともだち」は、SMや孤独といった重いテーマを扱いながら、ラストに向かうほど空気が少しずつ軽くなっていく作品です。
序盤は、暗い部屋でのプレイや、介護に追われるヨシオの日常がじわじわ胸にのしかかりますが、物語が進むにつれて人物同士の距離が近づき、表情も柔らかくなっていきます。
終盤の“ある選択”のあと、画面に入る光の量や、登場人物の立ち姿が少し変わるのが印象的でした。
重めの内容にもかかわらず、見終わったあとふっと肩の力が抜けるような清々しさが残ります。
日常の喧騒から少し離れて、自分の中のしがらみを整理したいときに観ると、意外なほどしっくり来るラストだと感じました。
菜葉菜の濡れ場が見れる映画！↓
村上淳と菜葉菜の熱演が光る
主演の村上淳と菜葉菜の掛け合いは、この映画を語るうえで外せないポイントです。
村上淳は、肩を落として歩く後ろ姿や、ミホの前にひざまずくときの微妙な腰つきで、「生身の疲れた男」を体現しています。
菜葉菜は、ヒールで床をコツコツ鳴らしながら近づき、ヨシオの頭を足で押さえる仕草一つで、支配と優しさのバランスを見せてくれます。
鞭を振り下ろしたあとに一瞬だけ手が止まる「ピタッ」とした間や、命令のあとに漏れる小さな吐息など、細かな表現が多く、濡れ場シーンも単なるエロスではなく、二人の信頼関係を映し出す場として機能しています。
この二人のやり取りがあるからこそ、物語のリアリティとエロティックさの両方が成立していると感じました。
エロティックなシーンの濡れ場が見れる映画！↓
大橋トリオの音楽がマッチ
エンディングテーマをはじめとした大橋トリオの音楽は、この映画の“夕方の空気”と見事に噛み合っています。
淡いメロディーと少し力の抜けたリズムが、SMクラブの張り詰めた空気や、介護の合間にふと訪れる静けさを、そっと包み込んでくれます。
音楽が前に出すぎず、登場人物たちの呼吸や吐息と一緒に流れていく感じが心地よいです。
ラスト、クレジットとともに曲が流れ始めると、それまでの濃いシーンの一つひとつが柔らかくほどけていくような感覚があります。
物語の余韻を引き取りつつ、「明日もなんとかやっていけるかもしれない」と思わせてくれる、作品と相性の良い音楽だと感じました。
映画『夕方のおともだち』エロい濡れ場やヌードシーン
菜葉菜のエロシーン
映画「夕方のおともだち」では、菜葉菜さんの出てくる場面が、いい意味で生々しくて目を奪われます。
薄暗い部屋で、黒い衣装からのぞく肌の白さや、脚を組み替えるときの腰つきが自然にエロくて、視線がついそちらに吸い寄せられました。
表情も、ただ“艶っぽい”だけではなく、どこか突き放しているようでいて、ふと優しさがにじむ瞬間があって、そのギャップがたまらないです。
体を張った濡れ場では、胸元がはだけて乳首が見えるショットもあり、布越しではない生のラインが一瞬「ぶるん」と揺れるカットにはドキッとさせられます。
あからさまに見せつけるというより、動きの中でふいに見えてしまう感じなので、かえってリアルな色気を感じました。
葛藤や情熱の濡れ場シーン
「夕方のおともだち」の濡れ場は、単なる見せ場ではなく、登場人物の気持ちがこぼれ出る場面として機能しています。
抱き寄せる腕が少し強すぎたり、密着したときに肩がビクッと震えたりする細かい描写から、それぞれの葛藤や不安が伝わってきます。
肌同士が触れ合っているのに、どこか距離があるようなもどかしさもあって、“気持ちのズレ”まで画面から感じられました。
キスや脚の絡みよりも、触れる寸前で一度止まる「ピタッ」という間や、浅く乱れた吐息の方が印象に残ります。
その一瞬一瞬に、我慢してきた欲や寂しさが詰まっていて、エロさと同じくらい人間くささがにじんでいました。
刺激的なSEXの描写
この映画に出てくるSEXの描写は、激しく見せるタイプではありませんが、その分、じわっとくる刺激があります。
腰を打ちつける動きよりも、相手の背中をつかむ指の力だったり、シーツの上で絡む尻のラインだったり、細部の表現で“抑えきれない気持ち”を表している印象です。
汗ばんだ肌がくっついて離れるときの、わずかな音や間がリアルで、「濡れてたんだろうな」と想像させるくらいの湿度があります。
肉体の快楽だけではなく、孤独から逃れたい気持ちや、誰かに受け止めてほしいという欲がそのまま行為に出ていて、観ている側もつい感情移入してしまいます。
エロさの刺激と、感情の生々しさが交差する瞬間が多く、単なる官能シーン以上の重みを感じました。
映画『夕方のおともだち』予告編
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映画『夕方のおともだち』感想
エロさは控えめ！
「夕方のおともだち」は、タイトルやSMというワードから濃厚なエロ映画を想像していましたが、実際に観てみると、むしろ抑えめな色気で攻めてくる作品でした。
露出はそこまで多くないのに、菜葉菜さんが革の衣装で脚を組んでこちらを見下ろすカットや、鞭を持ったままふっと笑う表情など、ちょっとした仕草にドキッとさせられます。
“見せるエロ”より、“におわせるエロ”が中心なので、抜き目的全振りで観ると物足りないかもしれませんが、淡い色気がじわじわ効いてきて、個人的にはこのバランスが心地よかったです。
ミホとしての菜葉菜さんは、スタイルもよくて、アップになったときの顔つきに独特の艶がありました。
派手さはないのに、画面の真ん中に立つとちゃんと空気が変わる人だなと感じました。
ドラマ部分がメイン？
ストーリーに関しては、正直とっつきやすい作品ではないと感じました。
主人公ヨシオの行動には「いや、それはどうなんだ」と思うところも多いのですが、寝たきりの母の世話と仕事の板挟みで、じわじわ疲れていく様子は妙にリアルです。
大きな事件が次々起きるわけではなく、日常の中の小さな葛藤や、ふとした会話のズレが積み重なっていくタイプのドラマなので、合う人と合わない人がはっきり分かれそうだと思いました。
ただ、SMクラブの薄暗い空間でミホと交わす言葉は、どこか哲学っぽさもあって、「この人たちは何を求めてここに来ているのか」を考えさせられます。
エロ目的で入り、気づけば人間ドラマを見せられている、そんな不思議な感覚が残りました。
菜葉菜の魅力は健在！
菜葉菜さんのミホは、この映画の中で一番“目が離せない”存在でした。
女王様としてSっ気を前面に出しているのに、ヨシオの弱いところを見抜くときの目線や、ふと力を抜いて笑う瞬間に、ちゃんと人間味がのぞきます。
ヌードシーン自体は多くありませんが、肩から背中にかけてのラインや、少し汗ばんだ肌の質感がうまく切り取られていて、それだけでも充分エロく見えました。
「もっと脱いでほしい」と思う人もいるかもしれませんが、個人的には、全部見せないからこそ想像が広がる感じが好きでした。
物語全体が重くなりすぎないのも、ミホとしての菜葉菜さんの柔らかさと、ちょっとしたユーモアのおかげだと感じます。
映画『夕方のおともだち』まとめ
映画『夕方のおともだち』は、山本直樹の原作をもとに、SMという特殊な関係を通して、人が抱える孤独や逃げ場を描いたドラマです。
SMの女王様ユキコと、真正Mの男・吉田の関係を軸にしながら、介護や仕事のプレッシャーといった、かなり現実的な問題がにじみ出てきます。
鞭やロウソクといったアイテムは出てきますが、単に痛みを楽しむ世界ではなく、「どこまで自分をさらけ出せるのか」「誰ならそれを受け止めてくれるのか」というテーマが、じわじわ浮かび上がってきます。
主演の菜葉菜は、SMクラブの女王としての冷たさと、ひとりの女性としての弱さを行き来する演技で作品を支えていますし、映像も、抑えた照明や部屋の狭さをうまく使って、登場人物の閉塞感を伝えていました。
タブーに触れながらも、結局は“人と人との関係”に帰ってくる物語なので、エロ要素だけでなく、静かな人間ドラマとしても味わえる作品です。
SMという言葉に身構えている人にこそ、一度じっくり観てみてほしい一本だと感じました。
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