映画『ハード・コア』は、社会の端でくたびれた男たちが、場違いなロボットと出会ってしまったことで、少しだけ世界の見え方が変わっていく物語です。
狩撫麻礼×いましろたかしの伝説コミックを、主演兼プロデュースの山田孝之と山下敦弘監督が、ぬるい笑いとヒリつく孤独の温度で実写に落とし込みました。
右近(山田孝之)は不器用で世間と噛み合いません。
唯一の相棒・牛山(荒川良々)と汗まみれで埋蔵金を掘り続ける日々に、無口なロボットが“ピタッ”と入り込む。
対して弟の左近(佐藤健)は、明るいオフィスで涼しい顔のエリート。
兄弟の体温差が会話の端々ににじみ、ぎくしゃくしながらも目が離せません。
奇妙な三者の距離が縮むほど、笑いの下に沈んだ現実が顔を出します。
小さな幸福と行き場のない苛立ちが交互に押し寄せ、最後は意外な余韻が残りました。
観る前より、少しだけ人に優しくなれるかもしれません。
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目次
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映画『ハード・コア』のあらすじ紹介
群馬の山中で権藤右近(山田孝之)は、相棒の牛山(荒川良々)と埋蔵金探しに明け暮れています。
世間の“正解”には背を向け、古びたスコップと汗のにおいがする作業着だけが日常。
会話は少なくても、二人の間の空気は柔らかいままでした。

一方の弟・左近(佐藤健)は、都市のオフィスで結果を出す商社マン。
清潔なシャツの肌ざわりと、兄の荒れた手のギャップに、兄弟の距離がはっきり浮かびます。
苛立ちながらも放っておけず、時折山へ様子を見に来るのです。

ある日、廃工場の片隅で奇妙なロボットを発見します。
無骨な外見に反して動きは滑らかで、命令には素直に“ピタッ”と反応。
左近の助けで正体を探るうち、三人と一体の奇妙な共同生活が始まり、ロボットは「ロボオ」と呼ばれるようになります。

ロボオの力を借りて、右近たちは長年追い続けた埋蔵金に手をかけます。
土埃の向こうに光る何かを見た瞬間、日々のリズムが狂い出し、関係は少しずつ軋みます。
金は自由をくれるのか、それとも縛りを強くするのか。

やがてロボオは、右近と牛山にとって“ただの機械”ではなくなります。
寡黙で、でも確かに寄り添う存在。
密着して手を取るわけではないのに、そばに立つだけで呼吸が整う相棒です。

しかし、騒動は彼らの居場所を脅かします。
ロボオは自分なりの“最適解”を選び取り、三人の未来に大きな影を落としました。
笑いと寂しさが同居する時間の果てに、彼らが守ろうとしたものは何だったのか。

『ハード・コア』は、社会の外側を歩く男たちと一体のロボットが築く、ささやかで確かな絆の記録です。
泥の重さ、手のひらの温度、ふいにこぼれる吐息まで、静かな画の中に積み重なっていきます。

笑えるのに、笑い終わるとすこし胸が痛む。
その感触も含めて、この物語の肝だと感じました。
映画『ハード・コア』基本情報・公開日キャスト
| 評価 | 3.2 |
|---|---|
| 公開日 | 2018年11月23日 |
| 上映時間 | 124分 |
| 監督 | 山下敦弘 |
| 脚本 | いましろたかし |
| 原作 | 狩撫麻礼 |
| キャスト | 山田孝之,佐藤健,荒川良々,石橋けい,首くくり栲象,康すおん,藤原季節,松たか子 |
| 製作国 | 日本 |
映画『ハード・コア』見どころ3選!
映画「ハード・コア」の魅力的なキャスト
山田孝之・佐藤健・荒川良々という顔ぶれは、名前だけで期待値が上がりますが、実際は“温度”の違いで魅せます。

山田は、苛立ちを声量でなく肩の落ち具合や視線の低さで表現し、汗で湿った襟元のだらしなさが右近の生きづらさを語ります。

佐藤は呼吸の浅さ一つでビジネスの緊張を乗せ、荒川は丸い背中とゆっくりした腰つきで“安心できる相棒”を体現。
三者のリズムが噛み合う場面は、台詞が少なくても自然と笑みがこぼれました。
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予測不能なストーリー展開
“ロボット×埋蔵金×兄弟”という取り合わせから想像されるドタバタに留まらず、選択の重みが静かにのしかかります。

一発逆転の高揚感と、手に入れてしまった後の気まずい沈黙が交互に来るため、次の一手が読めません。
「えっ、そこでそう来るのか」と息をのみ、画面から目を離しにくかったです。
サプライズは多いのに、人物の心の動きが置き去りにならない点が好印象でした。
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深いテーマと現代的な問い
“社会の外側”で生きるとは何か。
自己責任という言葉で切り捨てられる疲れや、家族という名で続く依存が、じわじわ効いてきます。

ロボオは感情を語らないぶん、人間側の浅ましさもやさしさも増幅して映ります。
手を添える“ピタッ”という瞬間や、肩がビクッとする反応など、小さな身体の動きがテーマを具体にしてくれるのがこの作品の面白さです。
自分なら何を選ぶか、いつの間にか考えていました
映画『ハード・コア』エロい濡れ場やヌードシーン
石橋けいの濡れ場がエロい
石橋けいが出てくるラブシーンは、作品全体の中でもかなり印象に残る場面です。
派手に煽る感じではないのですが、服がずれていくたびに肌がのぞき、胸元があらわになるショットでは思わず息を止めてしまいました。

照明の落ちた部屋で、汗ばんだ肌がほのかに光って見えて、さりげなく乳首が見えるカットもあり、ほどよい生々しさがあります。
きれいなだけのヌードではなく、そのときの感情や距離感が伝わってくる演技なので、大人の色気をじっくり味わえるシーンでした。
乳首などのエロシーン
映画の中では、キャラクター同士が体を預け合う親密なシーンがいくつか描かれます。
抱き寄せる腕の力加減や、密着した体の動きに合わせて呼吸が変わっていく様子が丁寧に撮られていて、肌と肌が触れ合うぬるっとした空気が伝わります。
胸元がアップになる場面では、乳首がはっきり映るショットもあり、そこだけ切り取ってもかなりドキッとする見せ方です。

単なるサービスカットというより、その人の弱さや欲望がにじみ出る瞬間として機能していて、エロさと同時にキャラクターの内面も浮き上がる構成になっています。
ほとばしるSEXの描写
この映画に出てくるSEXシーンは、きれいに整えたロマンスというより、少し乱れた気持ちがそのまま出てしまったような生々しさがあります。
絡み合う体の動きは激しすぎず、でも腰のリズムやつかむ手の強さから、押さえ込んできた感情が漏れ出しているのが伝わりました。

相手の吐息が近くなっていくにつれて、距離が縮まっているのか、それとも心がすれ違っているのか分からなくなる感じがあって、ただ“エロい”だけには収まらない複雑さがあります。
こうした場面が積み重なることで、登場人物たちの不器用さや満たされなさが、より強く観客に伝わるようになっていると感じました。
映画『ハード・コア』予告編
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映画『ハード・コア』感想
映画の空気感はちょっと予想外?
ポスターの雰囲気から、もっと軽いノリのコメディかなと勝手に思っていたのですが、実際に観てみると、笑いと同じくらい“じんわり重い空気”が流れていて意外でした。

康すおんが水割りを飲むシーンなんかは、本当にその辺のスナックを覗き見しているみたいで、グラスを持つ手つきや氷の音まで妙にリアルです。
全体としてはくたびれた男たちの話なのに、ときどき日常のどうでもいい瞬間がぽんと差し込まれて、その緩急に気持ちを持っていかれました。
友情と新しい家族の形
ロボ男が最後に壊れてしまう展開は分かっていても胸がズンと重くなりましたが、そのあとに右近と牛山が“自分たちなりの家族”をつくろうとするラストには救われました。

血のつながりとか、世間が決めた家族像とはちょっと違うけれど、一緒に飯を食べて、同じ部屋でダラダラしているだけでそれなりに満たされている感じが伝わってきます。

“こういう形もありだな”と思わせてくれる終わり方で、観終わったあと少しだけ気持ちがやわらぎました。
女性キャラクターの個性が際立ってる!
女性キャラクターたちも、いわゆるヒロイン像からは外れているのですが、その分、人間臭さが濃くて惹きつけられました。
セリフが少ない場面でも、脚を組む仕草や視線の流し方、ちょっとした間の取り方で性格がにじみます。

綺麗にまとまった“いい人”としてではなく、面倒くささも含めてそこにいる感じがあって、物語に厚みを与えていました。
男性キャラたちの情けなさを、時に冷たく、時に受け止めながら映し返す存在として、かなり印象に残りました。
映画『ハード・コア』まとめ
映画『ハード・コア』は、社会の端っこでくすぶっている男たちと、どこか場違いなロボットが出会ったことで、少しだけ日常がずれていく物語です。
右近と牛山の、汗まみれで泥だらけな毎日に、ブリキのおもちゃのようなロボットが入り込むことで、埋蔵金探しという夢と、現実のしょっぱさが同時に転がり始めます。
兄弟のギクシャクした関係や、人とうまく噛み合えない不器用さが、ユーモアと不条理さを混ぜながら描かれていて、笑いながらも自分のことを考えさせられるところがありました。
山田孝之や佐藤健をはじめ、俳優陣の存在感が強く、それぞれのキャラクターがちぐはぐな世界観をぎゅっと支えてくれています。
ロボットが登場する設定なのに、派手なSFというより“人付き合いが苦手な人たちの話”として響いてくる作品でした。
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